建設現場における労災は元請の責任
建設業労災保険の適用については一般企業における労災とは違い、法律上「元請」が「下請」の労災事故に関する責任を負うことになっています。従って、工事現場で下請業者に労災事故が発生した場合は、元請の労災保険を使って該当する保険の給付を受けることになります。そして、労災への加入は作業員ごとではなく、現場作業員をまとめた形で元請が加入します。なお、労災の申請をする時には元請の労災事業所番号を記入することになります。
建設業ではとびや左官、電気工事店、内装工事店、水道工事業、土方など、さまざまな職種の業者がそれぞれの担当業務を受け持って工事が進められていますが、すべての下請業者の保険料は元請が支払っています。
なお、工事には複数の業者が入ることから人件費の把握ができないため、工事額に「労務比率」を掛けて人件費を算出し、その人件費に「労災保険料率」を掛けて年間の労災保険料を割り出しています。労務費率と言うのは、建設業に対して国が人件費と看做した比率のことです。例えば、一般建設業では21%、内装業では22%になっています。従って、一般建設業で工事額が1,000万円の場合は、人件費は21%の210万円になります。
この人件費に建設における労災保険料率である1,000分の13(一般建設)や1,000分の15(内装工事)を掛けたものが労災保険料となります。通常は年単位で算出しており、例えば、元請建設会社の年間工事額が3億円とすると、3億円×21%×1,000分の13で819,000円が年間労災保険料となります。