建設業労災加入ナビ

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建設業労災保険メリット制の弊害

一定以上規模であれば建設業労災保険の保険料にもメリット制の適用があります。

メリット制の適用規模は単独有期事業であれば、確定保険料40万円以上、または事業費が1億2000万円以上で、保険料の増減の幅はプラスマイナス40%です。一括有期事業の場合は適用規模が異なり、年間の確定保険料が合計で100万円以上で保険料がプラスマイナス40%、さらに年間の確定保険料が40万円以上100万円未満のときはプラスマイナス30%となります。

このようにメリット制は保険料負担を公平にしつつ、保険料を下げることで労災防止のインセンティブを与える制度です。しかし、この制度による弊害も発生しています。

このメリット制のため、ある事業で一度労災が発生してしまうと大きく保険料が跳ね上がってしまいます。この適用は労災への保障支出によって判断されるので、できるだけ事業者としては労災保険の適用は免れたいというわけです。しかし、実際に労災が発生してしまえば誰かが被害者への補償を引き受けなければいけません。そのため事業者の労災を使うのではなく、下請けに入っている他の業者の労災を使わせるといったやり方が行われることがあります。

本来ならば建設業では事業元請けが労働者全体の面倒を見るシステムになっており、下請けはその負担を引き受ける必要はありません。しかし、元請けの圧力で自分のところの労災保険を使わざるを得ないケースが発生しているのです。これは下請けであっても、労災保険の手続きをしておいたほうがいいと言われる理由のひとつになっています。